こんにちは、管理栄養士のななたです。
今回は保育園での食物アレルギー対応『夏祭りのイベント編』です。
夏祭りは子どもたちが楽しみな行事のひとつ。
ゲームや屋台、盆踊りなどたのしい思い出をつくりたいですよね。
しかし、非日常での食物アレルギーの対応は栄養士の悩みどころ。
ふだんの食事環境とちがう場面では誤食などの事故も起こりやすいです。
など、決めておくべきことがたくさん。
そこで、この記事ではおさえておくべきポイントやわたしの経験談をご紹介します。
アレルギー対応の基本を再確認する
参考サイト保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)より
食物アレルギー対応について、不安がある方は上記ガイドラインで確認してください。
対応の手順や、各書類のフォーマットも載っています。
市町村のアレルギー対応マニュアルがホームページに公開されている場合もあります。
保育園独自のマニュアルがあれば再確認しておくと安心です。
献立に注意する
アレルギー対応が不要であれば、誤配膳も防げます。
- 除去が必要ない献立にする
例:<乳アレルギー対応>
じゃがバター→フライドポテトにする - 全員分を代替食材で作る
例:<小麦アレルギー対応>
全員分の唐揚げを片栗粉や米粉で作る
屋台メニューでは、ふだんの給食では使用しない食材や調味料を使用することもあります。
予想外のアレルゲンが含まれることもあるため、原材料をよく確認しておきましょう。
アレルゲンではないけど、1歳未満ははちみつにも注意です。
タレ系の調味料や黒みつなどに含まれていることも。
誤配・誤食対策をする
アレルギーがある場合でも、できるだけ他の園児と同じものを楽しんでもらいたいもの。
しかし、除去食が見た目で区別できない場合はとくに注意が必要です。
誤配膳や誤食を防ぐポイントをおさえておきましょう。
アレルギーのある園児を把握・周知しておく
全職員での情報共有が重要。
人数が多い場合は一覧表にまとめて、職員に配布しておくと便利です。
物品のうけわたし方法を決めておく
顔と名前を把握している職員が受けわたしをするのが理想。
屋台の担当者はもちろん、誰が見てもわかるような方法で誤配を防ぎましょう。
”わかりやすいけど目立ちすぎないこと”に気をつけていました。
保護者とも連携する
アレルギー対応があることを対象の保護者にも事前に連絡しておきます。
保護者も参加する場合は、当日に誤配がないかを保護者にも確認してもらうことをおすすめします。
2重チェックで事故を防ぐ!
ふだんの給食でアレルギーの献立チェックをしている場合は、同じ方法で行うとスムーズです。
わたしの勤務していた園では、毎月配布する献立表を利用していました。
方法は以下のとおり。
- 献立表の、アレルゲンを含む原材料と献立名にマーカーで色をつける
- 家庭用・提出用として、献立表を保護者へ2枚配布する
- 内容に間違いがないか保護者にもチェックしてもらう
- 提出用献立にサインしてもらい、提出してもらう
夏祭りの屋台メニューについては、当日までにおたよりを配布していました。
おたよりの例:
夏祭りの屋台について
【当日のおねがい】
アレルギー食誤配防止のため、保護者の方にもチェックをお願いしております。
引き換えカードに貼られているシールと、袋に貼られているシールが同じものかを確認してください。
【代替品の内容:小麦除去】
ベビーカステラ
(ホットケーキミックス・砂糖・卵・牛乳・バニラエッセンス・サラダ油)
↓
米粉カステラ
(米粉・砂糖・卵・牛乳・みりん・サラダ油)
ご協力お願いいたします。
アレルギー反応が出た場合の対応を把握・周知しておく
万が一アレルギー反応が出た場合、どの職員でもスムーズに対応ができる環境を整えておきましょう。
持ち込んだおやつ等をお友達からもらってつい食べてしまうことも。
保護者参加型の場合であっても、ずっと目を離さないでいるのはむずかしい時もあります。
緊急時の対応は、かならず職員全員で情報共有しておきましょう。
といったことのないようにしましょう。
- アレルギー対応マニュアル・フローチャート
- 生活管理指導票
- 緊急時個別対応票
に目を通し、園児ごとに - 自己注射薬や持参薬の有無、保管場所、使用方法
- 医療機関や家庭の緊急連絡先・連絡網(保護者同伴のイベントではない場合)
などを当日までに全員で確認しておくと安心です。
ふりかえり・記録を残しておく
夏祭りだけでなく、イベント時には記録を残しておくことをオススメします。
毎年、「去年はどうしてたっけ?」っていうことがなにかとある。
イベントが終わったあとは、忘れないうちにふり返りをしておきましょう。
わたしの勤務していた園では職員会議でイベントの反省がありました。
以下の内容を書き残しておくと、次回以降とても役立ちますよ。
- どのようなアレルギー対応・準備をしたか
- 当日のタイムスケジュール
- 保護者や職員からの意見
反省を来年にいかそう
わたしの体験談①
わたしの勤務していた園では、園内で行う保護者同伴の夏祭りでした。
屋台のメニューは4種類。
厨房で調理し、使い捨てパックや紙コップにつめる→
全員分を保育士にわたす→
券とひきかえに、保育士が屋台で提供する
といった形式でした。
わたしは当日は厨房から出ずに、完全に裏方です。
アレルギー対応方法
対応が必要なアレルギーの種類が多く、個別対応していました。
方法は以下のとおり。
- 給食会議でアレルギー対応を職員に伝え、情報共有をしておく。
- 当日は、除去食のパックに園児名を書いた紙を巻き、輪ゴムでとめる。
- 保育士にわたす際、除去食がすぐに目につくように一番上に置く。
- 受け渡しは、アレルギーのある園児の名前と顔を認識している保育士が行う。
民生委員の方も屋台に協力してくれていましたが、アレルギー対応が必要なものは必ず園の職員が担当するようにしました。
保護者の方へはおたよりを配布し、名前の書いた紙が巻いてあるパックを受け取るようお願いしていました。
毎年トラブルなく終えられていました。
わたしの体験談➁
委託で担当した保育園での体験です。
こちらも保護者同伴で屋台をまわる形式でした。
食べものの屋台は園内に設置し、盆踊りやゲームは近くの公園を借りて実施。
委託側の仕事は、券とひきかえに七夕ゼリーと紙パックのジュースを配るのみ。
毎年アレルギー対応はありませんでした。
しかし1度だけアレルギー対応が必要になった年があります。
”手作りおやつの味を保護者にみてもらう機会にしよう”という意見があり、蒸しケーキを提供することに。
乳成分のアレルギー対応が必要になりました。
アレルギー対応方法
- 除去食として牛乳を豆乳に、バターをサラダ油に変更した蒸しケーキを一番最初に作成。
- アレルギーのある園児のひきかえ券と、蒸しケーキの袋に同じ色のシールを貼る。
- 受け渡しは、アレルギーのある園児の名前と顔を認識している保育士が行う。
保護者の方へはおたよりを配布し、シールの確認をお願いしていました。
まとめ
夏祭りは子どもたちが楽しみにしているイベントのひとつ。
準備は大変ですが、全員が安心して楽しめるようにしたいですね。
職員どうしで相談・協力して、成功させましょう!