
こんにちは、管理栄養士のななたです。
写真のない献立表では、文字だけで料理を想像しなければなりません。
『メニュー名』は食事をする前のワクワク感をひきたてる、とても大切な要素。
どんな料理かをわかりやすく伝えるだけでなく、「おいしそう、楽しみだ」と思ってもらえるような名前にしたいですね。
そこで今回はわたしの経験をもとに、メニュー名にこだわる効果と決め方の5ステップをくわしく解説します。
つかえるワードをまとめた一覧表も作成しました。
ぜひ参考にしてください。

メニュー名にこだわると?
わたしが実感した効果は以下の2つ。
それぞれ説明していきます。
期待感が高まることで『おいしく』感じる

見た目は普通のサラダでも「新鮮な地元野菜を使用しています」と紹介されると、おいしそうに見えるようになりませんか?
人間は情報や見た目で、食べる前からおいしさを感じています。
おいしさを決めるのは味だけではありません。

印象を決める『名前』って大事!
実際に、献立の内容は変えずに名前だけを変更して、良い効果がでたこともあります。
保育園の畑でとれた野菜を使うときには、産地を献立名に入れました。
例:『いもごはん』
→『□□(園の名前)産さつまいものごはん』
すると、献立を見た子どもたちは「はたけのさつまいもだ!」とワクワク。
たくさん食べてくれ、今までおかわりしなかった子もおかわりに来るほどでした。
ただ「いも」と書かれていても、子どもたちには何の芋か伝わりにくく、魅力もありません。
献立名を工夫する効果を感じました。
食べる人のニーズが満たされやすくなる

社食などの、お客さんがメニューを見て料理を選ぶ場合はメニュー名がますます重要になります。
名前を見た時点で、”自分向けだ”と思えると、注文につながりやすくなるためです。
料理に求めているもの(ニーズ)は人それぞれ。
たとえば『焼肉定食』に求めるものは、
- 量をたくさん食べたい
- やわらかいお肉を味わいたい
- ガッツリした味つけを求めている など。
ボリューム感を売りにしている焼肉定食の名前を『カルビ増量!スタミナ焼肉定食』というメニュー名にすると、たくさん食べたいお客さんに選んでもらいやすくなります。

お腹いっぱい食べたかったの!これにしよう!
ニーズが満たされることで食後の満足感が上がり、「また食べよう」と思ってもらえます。
アピールポイントがあればどんどん情報提供していきましょう。

名前にこだわらないともったいない!
メニュー名を決める5つのステップ

写真などがない給食の献立表や社食のメニュー表を想定しています。
5つのステップでメニュー名を決めていくとスムーズですよ。
①メニューについて情報整理

まずは情報を整理しましょう。
- 献立のコンセプト
- 食材や調理法のこだわり
- アピールしたい点 などを書き出します。
- メニュー:肉じゃが
- コンセプト:がっつり食べられる和食
- アピールポイント:牛肉の味つけにこだわっている。じゃがいもは大きく切っている。
- メニュー:ハンバーグ
- コンセプト:7月の誕生日会を給食で楽しい雰囲気にしたい
- アピールポイント:星の形に成形している。七夕がモチーフ。
『普通の料理だからアピールポイントなんてない』という場合でも形状・味・食感・温度などの特徴が使えます。
たとえばサラダの場合、『カラフル・冷たい状態で提供している』というのも立派なアピールポイント。
- メニュー:サラダ
- アピールポイント:トマト・コーン・レタスの3色がきれい。冷蔵庫でしっかり冷やしている。
②一般的でわかりやすい名前を取り入れる

基本的に一般名があれば使用します。
前項の例①~③の「肉じゃが」、「ハンバーグ」、「サラダ」は、どんな料理か想像がつくため、このステップはクリアですね。
しかし、オリジナルメニューや一般的な名前がない料理もあります。
その場合は『材料・味・調理法』をそろえると想像しやすくなります。
例:
- きのことポテトの味噌マヨ和え
- 小松菜の中華煮びたし
- 鶏肉のクリームソースがけ
知名度が低いと思われる料理は括弧()やカギ括弧「」を利用して説明するとわかりやすくなります。
例:
- ビリヤニ(スパイスと鶏肉のたきこみご飯)
- 生クリームがたっぷりはさまれたパン「マリトッツォ」
③アピールポイントをしぼる

アピールポイントをしぼり、ワードを吟味します。
要素を盛りすぎると結局どんなメニューなのかよくわからない名前に。
サクサク・アツアツなどのオノマトペも使いすぎると安っぽく、くどくなってしまいます。
献立名は長くなりすぎないようにしましょう。
肉じゃがのコンセプト:がっつり食べられる和食
- 牛肉の味つけをアピールするとき
→味しみ牛肉のこってり肉じゃが - じゃがいもの大きさをアピールするとき
→ごろごろおいものガッツリ肉じゃが
ハンバーグのコンセプト:7月の誕生日会を給食で楽しい雰囲気にしたい
- 7月の行事にちなんでいることをアピールするとき
→たなばたハンバーグ - 形に注目して楽しんでほしい場合
→おほしさまハンバーグ
サラダのコンセプト:なし
→形状・味・食感・温度に注目し五感に訴えかけてアピールします。
- サラダの材料を角切りにして
→コロコロサラダやマセドアンサラダ - カラフルさと冷たさをアピール
→いろどり野菜のひんやりサラダ
④実物とメニュー名が合っているか確認

考えた名前が実物としっかり合っているか確認しましょう。
想像とちがう味や料理が出てきたら、だまされた・裏切られたという気持ちになります。
ハードルの上げすぎに注意です。
優良誤認となってしまうことも。ギャップがないよう気をつけましょう。
⑤ターゲットに合っているか確認

料理を食べる人(ターゲット)に合っているネーミングか見なおしましょう。
最初に決めたコンセプトにそって考えていれば大丈夫かと思います。
ですが、実際の反応を観察して見なおすことも大切です。
たとえば、「がっつり食べたいけど”大盛り”というワードが恥ずかしい」という人もいます。
『1/2日分のたんぱく質がとれる』など表現を変えると印象が変わりますよ。

名前で損することのないようにしたいですね。

使える!ワードまとめ
メニュー名を考える際に使えるアピールポイントの例や形容詞をあつめました。参考にしてみてください。

候補が決まれば、客観的な意見をもらうのもいいね。
形容詞・オノマトペまとめ

保育園での例:
ツイストパイ→ねじねじパイ
海藻サラダ→かみかみサラダ など
子どもに伝わりやすく興味を持ってもらいやすくなりました。
「おやつネジネジだった!」と子どもが保護者との話題にすることも。
産地をアピール
- 国産食材や地産地消にこだわっているとき
→国産黒毛和牛のすきやき
→地元△△産キャベツのサラダ - △△保育園の畑でとれたイチゴをつかうとき
→△△産イチゴのケーキ

食育にもつながります。
相性をアピール
- サーモンとアボカドの相性抜群サラダ
- 豚バラキャベツのミルフィーユ煮
○○と合う、ペアリング、○○添え、○○といただく、○○のおともに、○○付き、コンボ、セット など
数字を使う
具体的な数字を使うと、イメージが鮮明になります。
- 食材の数
7品目サラダ
天ぷら5種盛り - 特徴
通常の1.5倍!BIGメンチカツ
1/2日分の鉄分がとれるレバニラ定食
人気ナンバーワンカレーライス
牛ミンチ100%ハンバーグ
パワーワードをつける
- 無料、おまけ
大盛り無料
1品おまけ - 限定
期間限定
今が旬
限定30食
王道の、レア、究極、最強、極上、夢の、革命、キングオブ、魔法の、圧倒的 など
使いすぎるとうさん臭くなったり、期待を裏切ることになりやすいので注意しましょう。
メニュー名にひとことを添える
ターゲットをしぼると、「私のことだ!」と喫食者にささりやすくなります。
- 素材そのものの味を楽しみたいあなたへ
- 辛いものが好きなかたへオススメ
アピールポイントをそのまま書いても。
- 秋の味覚満載
- 食感にこだわりました
メニュー名にこだわろう
メニュー名にこだわり、しっかり料理をアピールすることで食べる人の期待感や満足感がアップします。
ご紹介したポイントを参考に、すてきな名前を考えてみてください。
また、料理のおいしさには盛りつけや食空間などもかかわってきます。
ぜひこちらの記事もごらんください。
