こんにちは、管理栄養士のななたです。
行事食は楽しみにしている人も多く、「喜んでもらいたい!」と力が入りますよね。
しかし、限られた費用でやりくりするのは本当に大変。
今回はこのような行事食のお悩みを解決できるよう、行事食の献立作成のコツをご紹介します。
目次から見たい項目へどうぞ!
献立をたてる前に
まずは献立のテーマとメインを決めましょう!
献立をたてるぞ!さっそくレシピ検索して……
と考えていきたくなるのですが、その前にテーマを決めましょう。
わたしは最初「なにかいいアイデアないかな~」とやみくもに行事のレシピをさがして、献立作成に時間がかかっていました。
しかし「今回はこういう事をしたい!」というテーマやメインとなるものを最初に決めると考えやすくなりました。
たとえば、
- お寿司以外のひなまつり献立にしたい
- 行事の伝統的なメニュー
- 保育園でとれたトマトが目立つ献立 など
メインが決まれば、あとは栄養価や価格など全体を調整していきます。
献立作成のコツ
テーマを実現するためには、栄養価、価格、見た目、味のバランス、調理時間など考えることは多いですよね。
わたしが普段やっている例とあわせて項目別にコツを解説していきます。
栄養価を調整するには?
添え物や調味料、トッピングで微調整
副菜や汁物をまるごと変更するよりも添え物や調味料、トッピングを考えるとうまくいく場合もあります。
分量をこまかく変えて最小限の変更ですませると献立作成の時短になります。
- 添え野菜にゆで卵をプラスする
- ウスターソースをカレー粉に変更する
- サラダに粉チーズをトッピングする など
慣れないうちはよく使う食材の特徴をまとめておくと便利です。
- マヨネーズ
→塩分をおさえつつ少量でエネルギーをあげられる。脂質はあがる。 - ささみ
→脂質をおさえつつタンパク質をあげられる。価格は○円/100g など
価格をおさえるには?
高価なものをおきかえる・割合や量をへらす
「この食材じゃなくてもいいな」という重要度が低いもの・値段が高いものから量をへらして、そのぶん安い食材におきかえています。
例:煮物のさやえんどうを他の具材といっしょに煮ている場合
- さやえんどうをインゲンやグリンピースに変更して価格をおさえる
- 煮物と別で加熱し、煮物を盛りつけた上からトッピングとして少量を使うことで量をへらす
いろどりのために使われている野菜は少量でも効果を発揮します。
変色しやすい食材は、煮物と別に処理することで発色もよくなります。
ほかにも、
- はまぐり→アサリにおきかえる
- ほうれん草50g→
小松菜30g+ほうれん草20gにする - 冷凍野菜をつかう
など価格と栄養価のバランスを見ながら試行錯誤していきましょう。
よく使う食材を比較して、表にまとめておくと便利です。
例:ほうれん草を別の野菜におきかえたい場合、栄養価の変化がわかる表をつくっておく。
たんぱく質(g) | カルシウム(mg) | 鉄(mg) | ビタミンC(mg) | |
ほうれん草 | 2.2 | 49 | 2.0 | 35 |
小松菜 | 1.5 | 170 | 2.8 | 39 |
青梗菜 | 0.6 | 100 | 1.1 | 24 |
安い食材で”かさ増し”する
- ほうれん草の和え物に切干大根を加えてぺちゃんこになるのをおさえる
- 煮物に豆腐を加えて少ないお肉でもボリュームがあるようにみせる など
盛りつけ方や食材の色を利用する
形や色を利用することで、高価な食材を使わなくても季節や行事を表現できます。
例:ひなまつりのちらし寿司
エビやいくらなど高価な食材は使えないときは、ひし形に盛りつけたり、ピンク・白・みどりの3色を利用することで”ひなまつり感”がでます。
さくらでんぶ、さやえんどう、枝豆、きゅうりなどお寿司にあう食材でいろどりを良くします。
にんじんやレンコンを花のかたちにしてトッピングするのも華やかになりますよ。
たんぱく質は魚をほぐして酢飯にまぜこんだり、副菜に卵を使ったり、汁物を豚汁にするなどでおぎないます。
調理時間を短縮するには?
作業はシンプルに
行事食では手の込んだことをすることも多いですよね。
手順をこまかく分けてシンプルにすることで、作業スピードがあがる場合もあります。
例:ポテトサラダをうさぎの形にする
→大きい丸(顔)と小さい細長い丸(耳)を作ってもらって組みあわせる
わたしはどうすれば簡単になるか・早くできるかを考え、実際にお手本の動きをやりながらパートさんに説明しました。
時間短縮にもなり、担当する人の負担もへります。
打ち合わせは念入りに
調理担当者やパートさんと事前に打ち合わせをしておくことで、当日スムーズに動くことができます。
相談しているなかで、良いアイデアが出てくることも。
時間に無理がないかも確認しておくと安心です。
わたしはふだんの調理でも時間がカツカツなため、打ち合わせは念入りにしていました。
パートさんにいつもと違うことをやってもらう場合は、毎回事前に相談。
個人の能力に合わせて役割などもある程度決めています。
前日や当日に「こんなのできるかしら~!?」って困らせないように気をつけています
当日は作業をしながらでも見やすいよう、完成図を大きく書いて貼っておきます。
いつも「貼ってあるとわかりやすくていい」と言われます。
満足感を出すには?
好きなものをおなかいっぱい食べられれば満足ですが、栄養管理をするうえではそうはいきませんよね。
最低限の量は確保した上で、できることをご紹介します。
ふだん使わない食材を使う
- 旬や行事関連の食材
- かざり切りの野菜
- カップデザートやケーキ など
せっかく特別な食材を使用しても、ほかの具材で存在感がなくなってしまうと残念ですよね。
ぜひ目立つように工夫しましょう。
アスパラガスで春らしさをだしたかったけど、園児の食べやすさを優先してグラタンに入れてしまい、存在感が無になったことがある 笑
デザートをつけるのも効果が大きいです。
旬のフルーツがすこしあるだけでも特別感がでますよ。
切り方を変える
切り方を変えると食感や見た目の印象が変わります。
食感や見た目はおいしさに直結するから、効果大!
- 厚みが出るように切る・角切りにする
噛む回数が増え、満腹感をえられやすくなります。 - 大きく切る
存在感が増します。
『ゴロゴロ野菜の~』、『まるごと~』など献立名もあわせて変えると、新メニューっぽくなるワザも使えます。笑 - ホテルパンで流し焼きした物の切り方を変える
いつもは四角→三角にする など形を変える - かたぬきやかざり切りをする
手間はかかりますが効果は大きく、喜ばれます。
食体験を利用する
食べる前に食事に対してなにか行動することで食事の満足感は高まります。
- 食べる人自身で仕上げをする
カレーのルウを自分でかける・デザートにトッピングするなど - セレクト要素を入れる
メインを選択式にする・好きなドレッシングを選んでかけるなど
見た目を良くする方法は?
献立全体で5色をそろえる
緑・黄・赤・黒・白をそろえることで、いろどりが良くなります。
白は主食でクリアできるね。
黒は少量あるとひきしまります。
黒ごまがごはんにのってるだけでも特別感でる!
足りない色をたすときに使える食材の色一覧表を作成しました。
ぜひブックマークしてご活用ください。
盛りつけ方にこだわる
すべてが平らでぺったりしていると、寂しい印象になってしまいます。
高さが出るように意識すると、見ばえが良くなりますよ。
- かさねる
- 積み上げる
- 山のかたちにする
- トッピングを利用する など
ボリューム感をだすために、そぎ切りにしてずらすことで大きく見せるワザも便利。
添えのキャベツを高さが出るように盛りつけるとバランスが良くなります。
保育園では、動物や行事にちなんだモチーフに盛りつけると喜ばれました。
献立をよりよくするには?
嗜好調査をする
食べる人に意見をきくと、食事に何を求めているかがわかります。
どんなものが喜ばれるのかをリサーチして献立にいかしましょう。
- アンケートを配布
- 直接聞きとり
保育園では保育士さん、病院では患者さんや看護師さんに聞きとりしています。 - 食べている様子を観察する
保育園では園児といっしょに食事をして、食べ方を観察したりリアクションをたしかめていました。
わたしは思考調査をするまでは、『子どもはケチャップやマヨネーズが好き』だと思っていました。
しかし聞いてみると案外苦手という子も多く、和食の味つけの方が食べ慣れているようだと気づきました。
反省点を書き残しておく
献立をよりよくしていくには、ふり返りをして次にいかすことが大切です。
- 色あいが悪かった
→次はカニカマで赤をたす - おにぎりに時間がかかった
→10時30分頃にはにぎり始めたい - ビビンバの具材4種類は盛りつけが大変だった
→次回もやしとにんじんはまぜあわせ、3種類にする など
気づきがあれば記録しておきましょう
行事食を盛り上げて喜ばれよう!
行事食の献立作成のコツをご紹介しました。いかがだったでしょうか。
まずは献立のテーマを決めて、全体を整えていくと考えやすくなります。
料理は作り手の気持ちが伝わるだけでおいしく感じるもの。
アピールポイントをしっかり伝えることも大切です。
あなたが頑張った分、きっと喜んでもらえますよ。
物価高のなかで献立を考えるのはほんとうに大変ですが、できることを見つけていきましょう!