こんにちは、管理栄養士のななたです。
食品成分表は改定されるにつれ、どんどん掲載数がふえています。
正確な数値を知れるのはいいのですが、
と困ることもありますよね。
今回は『鮭』についてまとめました。
食品成分表の鮭はどれをつかう?
基本的に国内の天然ものの鮭といえば、ほとんどが『しろさけ』です。
鮭は種類や呼び名がたくさん!混乱してしまいますよね。
食品成分データベースで”さけ”と検索すると、以下の食品が出てきます。
- からふとます
(なま・焼き・塩ます・水煮缶詰) - ぎんざけ
-養殖(なま・焼き) - さくらます
(なま・焼き) - しろさけ
(なま・水煮・焼き・塩ざけ・いくら・すじこ・めふん・水煮缶詰・削り節)
-新巻き(なま・焼き) - たいせいようさけ
-養殖-皮つき(なま・焼き・水煮・蒸し・電子レンジ調理・ソテー・天ぷら)
-養殖-皮なし(なま・焼き・水煮・蒸し・電子レンジ調理・ソテー・天ぷら) - にじます
-海面養殖-皮つき(なま・焼き)
-海面養殖–皮なし(なま)
-淡水養殖-皮つき(なま) - べにざけ
(なま・焼き・くん製) - ますのすけ
(なま・焼き)
献立表に記載されている原材料の重量はおもに生の重さです。
栄養価計算も、生の重さをあつかうことが多いです。
しかし、成分表にはゆで・焼きなど、調理後の成分値の記載がある食品もあります。
調理後の成分値をつかうと、食べる状態に”より近い値”がわかります。
例:ほうれん草をゆでて食べる場合
ほうれん草「ゆで」は、
<ゆで→湯切り→水でさます→手でしぼる>
という手順をふんだ場合の成分値です。
※どのような調理方法で算出された成分値かは、文部科学省のサイトなどで確認できます。
ほうれん草の場合は、鉄やカリウム・水溶性ビタミンなどが、加熱や水に溶けることで減っています。
調理後の成分値をつかう場合、重量変化率に注意して計算する必要があります。
重量変化率は文部科学省のサイトなどで確認できます。
例:生のほうれん草100gをゆでて食べる場合
ほうれん草「ゆで」の重量変化率は70%。
生のほうれん草100gをゆでると、ゆでた後のほうれん草は70ℊになります。
式:100g×70%(0.7)=70g
↓
ほうれん草「生」の場合は100gで計算しますが、
ほうれん草 「ゆで」の場合は70gで計算することになります。
野菜は加熱すると水分が出て、軽くなる!
乾物は、いちど水でもどすため、水分をふくんで重くなります。
例:切干大根の場合
「ゆで」の重量変化率は560%。
乾いた状態の切干大根10gを水でもどしてからゆでる場合、ゆでた後の切干大根は56gになります。
式:10g×560%(5.6)=56g
別名を表にまとめました。
別名 | 特徴 | |
しろさけ | 収穫時期で呼び名が変わる 秋鮭、時鮭(ときしらず) 鮭児(けいじ)、目近(めじか) チャムサーモン、秋あじ | 日本でもっとも多くとれる鮭 |
ぎんざけ | シルバーサーモン | 脂質が多い 身は濃いオレンジ色 |
べにざけ | ヒメマス、ベニマス レッドサーモン | 脂質は少なめ さけ・ますのなかで 身の色が最も赤い |
にじます | トラウトサーモン (サーモントラウト) スチールヘッド レインボートラウト | トラウトサーモンは 海面養殖で脂質が多い (淡水養殖の3倍以上) |
たいせいよう さけ | アトランティックサーモン トロサーモン | 脂質が多い 回転寿司やスーパーの刺身の ”サーモン”は基本的にこれ |
ますのすけ | キングサーモン | 脂質が多い サケ科で最も大型の魚種 |
からふとます | ほんます (北日本でよばれることが多い) アオマス、オホーツクサーモン ピンクサーモン、セッパリマス | 缶詰や加工品によく使われる |
さくらます | ほんます (東京市場でよばれることが多い) ヤマメ チェリートラウト チェリーサーモン | 春にとれる高級魚 |
鮭フレークにはどれを使う?
鮭フレークは、食品成分表に記載はありません。
製品によって成分値がちがうため、製品の成分表示を確認するのが確実です。
表示がない場合はメーカーや卸業者などに問い合わせましょう。
食品成分表に載っている『塩ざけ』の値とは異なります。
鮭フレーク成分値の一例(100gあたり):
家庭用ビン入り | 業務用パウチ入り | 家庭用ビン入り | |
原材料表記 | 国産秋鮭 (=しろさけ) | 白鮭 (=しろさけ) | しろざけ (=しろさけ) |
引用元URL | 道南冷蔵 焼鮭ほぐし | 東洋水産 鮭フレーク | マルハニチロ 鮭フレーク |
エネルギー(Kcal) | 169 | 255 | 370 |
たんぱく質(g) | 19 | 22 | 23 |
脂質(g) | 10.1 | 18.3 | 21.3 |
炭水化物(g) | 0.6 | 0.6 | 4.1 |
食塩相当量(g) | 4.6 | 3.6 | 3.9 |
植物油脂の量が商品によってちがうため、エネルギー量はおおきなばらつきがあります。
また、食塩の量もちがいます。
どの鮭が使われているかの記載の義務はありませんが、商品名や原材料表示でわかることも。
『しろさけ』『ぎんざけ』が多いようです。
ますと鮭のちがいは?
明確なちがいは無い
- 鮭:
産卵のために川に戻ってくるもの。英語でサーモン - ます:
一生を川で過ごすもの。英語でトラウト
このように区別されることもありますが、種類によっては例外もあり、定義するにはむずかしいようです。
サーモンと鮭のちがいは?
- 『生食ができるかどうか』のちがい
- 日本語、英語のちがい
サーモンはほぼ養殖で、生で食べることができます。
鮭は天然ものが多いです。
天然ものにはアニサキスがいるため、生食はできません。
表にすると、このように区別されることが多いようです。
サーモン | 鮭 |
養殖(淡水:例外有) | 天然(海水) |
生食OK | 加熱が必要 |
例外で、国内産の『ぎんざけ』はほとんどが宮城県の養殖のため、鮭でも生食OKなのだそう。
しろさけの掲載食品について
いくらとすじこのちがいは?
卵の粒がバラバラの状態になっているかどうか
- いくら:
さけ・ますの卵の粒を分離させて塩蔵したもの - すじこ:
卵の粒を分離せずに卵膜がついたまま塩蔵したもの
『めふん』ってなに?
鮭の腎臓を塩で漬けこんでつくる”塩辛”のこと
1匹からとれる量が少ないため、ふだんはあまり見かけることのない珍味です。
クセがあるものの、ごはんや日本酒のお供としてやみつきになる人も多いようです。
ためしてみたい方はAmazonなどでも売られていますよ。
塩鮭の甘口ってなに?
塩分濃度による名称。
正確な規定はありませんが、北海道庁では「熟成塩蔵さけ認証基準」 を設けています。
塩蔵さけの塩分名称を表示する場合は、以下の塩分濃度によって区分されます。
- 甘口(甘塩):塩の濃度が3%未満
- 中辛:身塩の濃度が3%以上6%未満
- 辛口:塩の濃度が6%以上10%未満
甘口はいちばん塩分濃度が低く、スーパーなどでよく売られています。
『甘口』といっても砂糖が入っていたり、甘い味というわけではありません。
成分表を使いこなそう!
掲載数が多い食品の場合は、「どれを使えばいいんだろう」と迷うこともありますよね。
わたしもよく使う食品以外はまだまだ勉強不足なことが多いです。(とくに魚介類……笑)
つまづいたらすぐに調べて知識を身につけることで、使いこなせるようになっていきますよ。
みんなに認められる『栄養のプロ』になれます!
参考サイト
魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会)
第3章魚介類(正誤表11反映1222)
熟成塩蔵さけ認証基準